安全性と作業効率を追求する農業法人の “現場力”を ITの力でサポートする

これまでの農業は、狭い圃場を管理する小規模経営が多かったため、「経験値」による農場運営が可能であった。しかし、近年法人化が進み、管理する圃場面積も拡大している。その管理にはこれまでの「経験値」だけで経営を行うことは難しくなっている。

これからの農場経営は、より確実に、そしてより効率的に生産を行う「儲かる農業」が必然である。『農場物語』では、生産工程を PDCA サイクルで回しながら、生産現場の各メンバーの経験値やノウハウを知的資産として共有し、「儲かる農業」を実現する“現場力”向上をサポートする。

開発の経緯

「農場物語」を開発するきっかけとなったのは、2002 年 3 月に起きた中国産冷凍ほうれん草に基準値を超えるクロルピリホス(農薬)が残留、検出された事件に遡る。この事件をきっかけに、農薬取締法の厳罰化やポジティブリスト制度が導入され、農薬成分の残留基準値を超えた農産物を出荷した場合に、使用者に罰則が科せられることになった。

しかし、生産者にとって紙で栽培履歴を書き残しても、書かれた内容が適正であるのかを簡単にチェックする方法がなかったのが現状であった。何故なら登録されている農薬数は約 4,000 商品、ポジティブリストで設定した残留成分件数は約800 成分もあり、1 人の生産者がこの情報を精査することは不可能だったのである。

そこで当社は、生産者の方が簡単に農薬の適正使用ができるシステムの構築が必須と考え、研究開発を経て 2007年 9 月に「農場物語」をリリースした(図 1)。

図1

農場物語の特長

1)栽培計画・実績をクラウド上で管理
品目別の栽培計画から栽培履歴まで、すべてをクラウド上で管理するため、必要な情報をいつでもどこでも取り出せる(図 2)。

図 2

2)使用農薬の自動チェック
日々更新される農薬情報を常にチェックするのは大変である。農場物語は、FAMIC(独立行政法人農林水産消費安全技術センター)が提供する最新の農薬登録情報を取得し、その最新の農薬情報を基に、農薬の選定や使用方法、使用累積回数、使用上限回数などのチェックを瞬時に行う(図 3)。

図3

3)タイムリーで正確な現状把握を実現
農場物語をリリースした当初は、農産物の安全・安心対策として利用いただいていた。しかし、長年利用されている利用者様から、これまで入力した情報を活かしたいとの要望を多くいただいた。

そこで皆様に情報をどのように活かしたいのか要望を伺ったところ、経営の見える化に関する意見を多くいただいた。追加開発した作物別の栽培計画から作業管理、出荷管理、収益管理までを 1 つの仕組みで管理する機能をリリースしたことで、今後効率的な生産管理へとつなげていくことを支援していく(図 4)。

図 4

4)生産計画に基づいた作業指示を自動化
栽培計画に基づいた作業指示を自動的に送信し、指示漏れや作業ミスを削減する(図 5)。

図 5

5)コミュニケーションアプリで情報共有
この機能には、大きく 3 つの役割をもたせた。

1つ目は、日々の作業指示を定時に一斉配信することを可能にした。圃場で働く従業員は、朝礼に全員集まり、その後作業圃場へ向かい作業をし、また夕礼に全員集合し作業確認などをしている。生産計画に基づいた内容を従業員全員に一斉配信することで、1 人当たり 1 日約 30 分~1 時間多く圃場作業に従事することができる。

2 つ目は、一般的な SNSアプリ機能が有しているメッセージおよび画像送信する役割である。こちらの課題は、縦軸に日付をもたせている無料アプリが多くあり、未来の予定を送信すると予定日当日確認することが難しいといった課題を解決するために開発した。日付を横軸にもたせることで、未来予定を予定日当日に探す煩わしさから開放される。

3 つ目は、新しい従業員の方が間違わずに作業圃場へたどり着けるなどといった、ルート案内機能の役割である。一面同じ作物が栽培されている地域では、どこが自社で管理している圃場なのか迷うことがあるといった課題や、作業圃場から一番近い手洗い場所やトイレはどこなのかといった、場所にかかわる課題が多くあった。この機能の利用により、新しい従業員の方への配慮を支援する(図 6、7)。

図6

図7

6)GAP 認証の取得をサポート

消費者や取引先から信頼される農場の目印となる、GAP 認証の取得をサポートする(図 8、9)。

図8

図9

7)安全性やこだわりを生活者にアピールする

丹精を込めて生産した農産物のこだわりや栽培履歴を発信して、消費者にアピールすることができる(図 10)。

図10

またシステムの利用に抵抗がある方にも、簡単にいつでも利用いただけるように、システム導入時によくあるマスタ設定等の初期設定を、一切する必要がないことも特徴の 1 つである。

これからの農場物語

当社は、創業以来生鮮流通に特化したソリューション開発に携わってきた。誰よりも生鮮流通特有の運用や商慣習を理解している自負があり、それが私たちの最大の強みだと思っている。当社は単なるシステム会社ではなく、生鮮品流通の経験を基に、生産者へ消費者が求めている情報は何か?特に生産者に役立つサービスとは何か?との問いの中で常に農場物語を開発し続けてきた。

これまで農業は、狭い圃場を管理する小規模農場が多かったため、属人的な「経験値」による農場運営が多い状況であった。しかし、近年は法人化が進み、それに伴い圃場面積も拡大しており、農業経験値のない従業員の雇用が必然となっている。そのような環境の中、これからの農場経営にはより確実に、そしてより効率的に生産を行う「儲かる農業」への変革が求められている。

農場物語では、生産工程を PDCAサイクルで回しながら、生産現場の各メンバーの経験値やノウハウを知的資産として共有し、「儲かる農業」を実現する“現場力”向上をサポートする(図11)。

図11

1)儲かる農業を実現する
これからは GAP 認証を取得して、消費者や取引先から信頼される農場を目指す農業法人を支援していく。GAP 認証は、2020 年のオリンピック選手に提供される食材の調達基準にもなっている農産物の認証制度である。

GAPとは農産物の安全を確保し、よりよい農業生産を実現する取り組み。GAPには農産物を栽培し出荷するまでの工程において守るべきルールが定められており、安全で品質のよい農産物の生産を行うため、適切な農薬の使い方や、使用する水の安全性のチェックなど 100 を超えるチェック項目がある。

これらのルールを実践することにより、「生産現場の安全意識」と「適切な農場管理」の実現、そして食の安全や環境保全に取り組む農場として消費者からの信頼を得ることが可能になる。

2)「農場物語」が GAP 認証の取得をサポートする理由
GAP 認証取得においては、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保することが求められる。食品安全への取り組みは、消費者や取引先に対して信頼を確保することで継続的な取引へと繋がる。環境保全への取り組みは、継続的かつ安定した農作物生産へと繋がる。

労働安全への取り組みは、人手不足が顕著な農業で貴重な人材の確保に繋がる。この 3 つの取り組みが、結果として農業法人の継続的な経営活動へと繋がることになると当社では考えている。今後、元気で儲かる農業を実践される農業法人様が増えるよう、当社も貢献していく所存である。

◎価 格
●基本利用料:年額 2,400 円(1 経営体/税別) 
●オプション利用料:年額 2,400 円(1 経営体/税別)
※農場物語はご利用段階ごとに、ご提供する機能を分けております。まずは無料の『農場物語』のアプリからお試しください。

注目ポイント!
農場物語は、ご利用段階ごとにご提供する機能を分けております。まずは無料の『農場物語』のアプリからお試しください。

◆相談先
イーサポートリンク株式会社
E-mail:info@noujou.com
URL:https://www.e-supportlink.com/

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