「千年農業」~アグリノートで実現 する次世代の農業情報管理~

記録をデータとして管理・蓄積することにより、これまで暗黙知として伝えられていた匠の技を形式知化し、若い従業員や新規就農者への知識や技術の伝達、さらには組織内の情報共有ツールとして活用されている「アグリノート」について紹介する。

アグリノート開発の経緯

アグリノートは、1人の農家の声から開発が始まった。その農家は、自身の管理する農地の大規模化に伴い、管理ツールを探していた。とはいえ、過去には市販のソフトも利用してみたものの、どれも操作が複雑であり、現場で使いこなすまでには至らなかった経緯がある。

アグリノートイメージ

 
「直観的な操作ができて、且つ、農地を視覚的に管理できるツールが欲しい。」この声を受け、ウォーターセル株式会社は、(財)にいがた産業創造機構の創業準備オフィスで産声を上げ、農作業支援ツール「アグリノート」の実証開発を進めた。

「アグリノート」の開発は、地元新潟の農家と二人三脚で行ってきた。プロトタイプを製作しては農家からのフィードバックを受け、何度も何度も改良を重ねた。また、本実証開発は、経済産業省関東経済産業局・平成23年度地域新成長産業創出促進事業に採択され、翌年デザインを刷新し、平成24年3月に一般サービスとしてリリースした。

航空写真を使った視覚的圃場管理の実現

アグリノートの特長として、航空写真マップを使った視覚的な圃場管理が挙げられる。具体的には、GoogleMapやYahoo!地図をベースに、農家が管理する圃場を地図上に区画として登録することで、地図情報として農地の管理を可能としたのである。

圃場管理イメージ

区画の作成イメージ

マップベースの圃場管理機能は、昨今の農地管理ソフトも数多く採用している技術であるが、「アグリノート」においては、画面上の操作が圧倒的に直観的で使いやすい。これは、農家と共同で開発してきた経緯として、「アグリノート」がそのインタフェイスの細部にまでこだわりぬいて作られている証である。

具体的には、マップ上で任意の場所をクリックすると、その地点にピンが立つ。続けてクリックすると、ピンとピンが“直線”で結ばれていく。最後に「区画を確定する」ボタンを押すことで、最初に立てたピンに直線が結ばれ、この時点で“面”が作成される。作成された“面”はマップ上で圃場区画として登録される。

マップ上に設置されたピンは緯度経度情報をもつため、その情報からピンとピンの間の長さを割り出し、アクティブに“面”の面積情報を割り出すことを実現した。この機能は、農地の管理において非常に有意義な情報として現場で活用いただいている。

その他管理機能

上記で紹介した機能のほかにも、アグリノートは航空写真マップを活用した機能を提供している。

◉生育記録
農業では、しばしば栽培作物における生育状況の調査を行う。ある特定の場所において、作物がどれくらい成長したかを記録することで、これまでの生育の推移を評価・分析し、今後の栽培方針を検討する上で必要となる調査である。

「アグリノート」では、航空写真マップ上に作成した圃場区画の中に、複数の「生育調査地点」を設定することが可能である。実際の畑では、生育調査を行う場所に目印となる棒などを立てて管理するのが一般的のようだが、それと同様の管理を航空写真マップ上で可能とした機能である。

また、設定した「生育調査地点」ごとに各種生育調査項目について記録を登録するメニューがあり、最終的には「生育調査地点」ごとの生育推移を自動で表形式やグラフ形式でユーザへ提供する。

⬆生育調査地点イメージ

◉マップメモ
「アグリノート」はクラウドサービスとして提供されており、利用ユーザは比較的規模の大きい農業生産法人も少なくない。組織内における複数の作業者間での利用において、インターネット経由でリアルタイムに情報共有を可能とするクラウドサービスのアグリノートが重宝されている理由の1つである。

「マップメモ」は、このような大規模生産法人など複数の作業員間の情報共有に役立つ機能として活用されおり、その特長は、航空写真マップ上に自由にコメントや画像・資料を記録する掲示板機能にある。

たとえば、ある場所で病害虫被害が発生した場合、その場所でスマートフォンを使って写真を撮影し、「マップメモ」上で共有する。または、GAPの観点から農場内外におけるリスク評価事項を「マップメモ」上に共有することで、この機能を活用いただいている。

⬆マップメモイメージ

他社との取り組み事例

◉株式会社 IHIとの実証事業
宇宙航空・エネルギー機器、建機などを手がける総合重機メーカの株式会社IHI(本社:東京都)と共同で最先端の農業情報サービス「Field Touch(フィールドタッチ)」を開発し、2011年より北海道十勝地域を中心に実証事業を展開した。

作物・環境センシングを中心とした農業ICT技術を採りいれて開発した本サービスは、人工衛星・航空機による土壌分析・植生分析情報提供と、フィールドセンサによる気象・土壌観測の情報、さらには「アグリノート」の圃場管理・栽培記録情報を統合し、管内約500のモニター生産者向けに試験提供を行った。ここでも、「アグリノート」の基礎となる航空写真マップベースでの視覚的な情報提供が高い評価を得た。

Field Touchモバイルイメージ

本実証事業では、「アグリノート」がすでに実現している航空写真マップベースの圃場管理だけでなく、リモートセンシングによる植生分析・土壌分析データを圃場区画にマッピングさせることで、“どの圃場のどの場所がどのような生育状態・土壌状態にあるのか”を、視覚的にユーザへ届けることを可能にしたのである。

これにより、ユーザは自宅から離れた圃場および作物の状態を把握することが可能となり、今後の作業計画の立案などに幅広く活用いただけた。

今後の取り組み

ウォーターセルのミッションは“農業情報を整理し、モノと情報を繋ぎ、人と人を結ぶ情報プラットフォームを構築すること”である。農業を取り巻く情報は数多く存在する。

気象や土壌情報、作物の生体情報や病害虫情報、農業資材や農機情報など、農作業に必要なあらゆる情報を「アグリノート」に繋ぎ、必要とするすべての農業者に最適な情報を提供し、その先にいる農業者同士を繋ぐプラットフォームとなることがわれわれの目指す真の“農業情報サービス”である。

その夢に向かう1歩として、2014年にベジタリア株式会社と資本・業務提携を締結。植物科学と最先端のテクノロジーを活用し、農業現場に新たな価値を創出すべく、グループ一丸となって取り組んでいる。

農業は、地域と文化とそこに住む人々とともに歩んできた産業である。過去から学び、そして未来へ、真の意味で持続可能な農業の実現へ向けて、われわれは“情報”を繋いでいきたい。

※スマート農業バイブル ―『見える化』で切り拓く経営&育成改革より転載

◎価格
利用料金  年額6,000円(1アカウント/税別)

Tips
アグリノートは、モバイル版(Android、iOS)アプリを提供しております。基本設定や情報の分析はPCでおこない、普段の記録作成や確認はモバイルアプリをご利用いただくと大変便利です。

◆相談先
ウォーターセル株式会社
TEL:025-282-7368
http://water-cell.jp

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