次世代農業を“見える化プラスワン”で 支援する SNS 型クラウドサービス

「アグリーフ -agrLeaf-」は、SNS 型の営農支援クラウドサービスであり、2 つの見える化サービス「圃場の見える化(環境モニタリング)」、「作業の見える化(作業記録)」と、自動化サービス「水やりの自動化(遠隔灌水タイマー)」を提供している。アグリーフの様々なデータはクラウドサービス上で管理されており、圃場へ行かなくても自宅や外出先からスマートフォンやパソコンで利用でき、また、利用者間で作業状況等を情報共有できる。

開発の経緯

データプロセス株式会社は創業以来 50 年、情報産業の分野で ITシステムの開発、導入、運用・保守事業を行う、いわゆる IT 企業である。当社は、常に改革し続ける企業文化のもと、他社との差別化のため保有する技術の応用や新たな技術にチャレンジできる事業を模索していた中、実家が農家である役員が声をあげた。

農業は、農業従事者の高齢化、厳しい労働環境、熟練農家の栽培・経営ノウハウ継承の難しさ、後継者不足等の様々な課題を抱えている。それは、まさに声をあげた役員、すなわち農家の後継者が直面しているリアルな課題であった。そこで、後継者へ次世代農業へ向けて ITを活用して営農を支援したいという思いからアグリーフが誕生した。

アグリーフのパンフレット(左)/ポスター(右)

「あればいいよね」を形に

当社が開発するソリューションの特徴は「あればいいよね」を、当社のもつ技術の応用や有効な技術の探索、新たな技術を採用し、開発、成長させることである。現在は、テレビ CMやニュースでも取り上げられている話題の AIスピーカー「Google Home」が圃場の状態を教えてくれるサービス「圃場の訊ける化(仮)」を開発中である。

たとえば AIスピーカーに「土壌」と問いかけると、「地温 18℃ 土壌水分31% 土壌栄養 0.04mS/cmです」と土壌センサの測定値を答えてくれる。食事をとりながら、農作業で手が汚れている時に、スマートフォンやパソコンを操作しなくても AIスピーカーが答えてくれれば「いいよね」を形にしたものである。 

⬆ GoogleHomeで「圃場の訊ける化(仮)」 参考展示した様子

アグリーフの設計思想は、こどもやシニア向けのソフトウェアの開発を古くから手掛けてきた実績を活かし、スマートフォンやパソコンに不慣れな方でも使っていただけるように見やすく使いやすく設計したことと、次世代の農業の担い手の方にも活用していただけるように情報共有の王道である SNSの要素を取り入れ、ユーザフレンドリーな考えで開発している。

アグリーフの販売スキームは、現在のサービスをそのまま利用いただくだけでなく、様々なニーズに応えられるようにアグリーフのカスタマイズも承っている(有償)。また、市場の「あればいいよね」の情報収集も兼ねて、関係省庁、自治体のフォーラムや交流会へ積極的に参加し、展示会へも出展している。

【2018 年度上期/出展、参加実績】
●関西 次世代農業 EXPO
●農林水産省スマート農業推進フォーラム
●「農」イノベーションひょうご推進協議会
●京都府農林水産技術革新創出会議

アグリーフ -agrLeaf- 3サービスの紹介

1)圃場の見える化(環境モニタリング)
「圃場の見える化」サービスは、スマートフォンやパソコンを利用して、遠隔で圃場に設置したセンサで測定した気温、湿度、土壌状態等を確認できるサービスである。また、これらの測定値を利用して、圃場の健康管理や収穫日予測、病害虫の繁殖予測等に活用いただける。

⬆圃場の見える化 アプリ画面・各測定値
スマホアプリのトップ画面で、センサの測定値の最新情報が見られる。

➀圃場環境の記録
圃場へ行かなくても、自宅や外出先から圃場に設置した様々なセンサの測定値がクラウドサービス上に記録されスマートフォンやパソコンで確認できる(図 1)。

測定項目は、気温 、湿度 、照度 、日射量、土壌水分、土壌温度、土壌 EC 値。これら以外の測定項目も順次拡張予定である。
*標準機能。その他は要望に応じて拡張できる。

図 1 圃場環境の記録 アプリ画面・気温グラフ
スマホアプリのトップ画面で、気温アイコンをタッチするとこのグラフ画面が表示され、1 日の推移を確認できる。

➁圃場のヘルスチェック
気温の上昇や湿度の低下、土壌水分の低下等をスマートフォンに通知することができ、圃場の健康管理に役立つ。測定項目ごとに通知の閾値とする上限・下限が設定でき、測定値が上限値を超えた場合、または、下限値を下回った場合にスマートフォンに通知される。

監視する測定項目および閾値は、農業の多様性を考慮し任意に設定できるため様々な地域や作物、品種等の特性に合わせて利用いただける(図 2)。

図 2 圃場のヘルスチェック アプリ画面・通知
閾値を超えた場合、このようにスマホに通知される。SNSのような画面に設計している。

➂収穫日予測、病害虫対策
日々の気温を自動で積算し、今後の気温の予測と併せて、その積算温度があらかじめ設定した目標温度に到達する時期を予測することで、収穫時期の予測や病害虫の繁殖対策等に役立つ。

気温の予測は過去の測定記録を利用できるため、使えば使うほどに、より精度の高い予測ができるようになる。積算温度は、積算対象とする温度範囲(上限、下限)、目標温度を任意に設定できるため、地域や作物、品種等の特性に合わせて利用いただける(図 3)。

図 3 収穫日予測 アプリ画面・積算温度グラフ
スマホアプリの積算温度グラフ画面で、ピンクの部分が実績値、グレーの部分が予測値である。黄色のラインが目標値で、ここに到達する日を予測している。

➃日誌の自動作成
1 日の終わりに、センサの測定値とシステムに入力した日誌(作業内容や作物の状態等)が集約された日誌が自動で作成され、作業の改善対策や後継者への技術継承に活用いただける。

●センサによる測定値(1 時間ごと)
●入力した日誌(文章、写真)
●圃場のヘルスチェック(前記②の通知)
● 作業の見える化情報(後述の「作業の見える化」でスマートフォンが検知した発信機情報)

2)水やりの自動化(遠隔灌水タイマー)
「水やりの自動化」サービスは、圃場へ行かなくても自宅や外出先からスマートフォンで灌水タイマーを設定でき、圃場へ行く時間や労力の削減に役立つサービスである。

水やり自動化 設置模様
電磁バルブ6 機を遠隔タイマーで開閉制御している。

➀ 圃場に設置した電磁弁の開閉時間を、自宅や外出先からスマートフォンで遠隔で設定できる(図4)。

図 4 水やりの自動化 アプリ画面・水やり設定一覧
灌水タイマーの設定一覧。複数のタイマーを設定できるように設計している。

➁電磁弁の開閉設定は、タイマー方式で目覚まし時計のような親しみやすい操作で設定できる(図5)。

図 5 水やりの自動化 アプリ画面・水やり設定
灌水タイマーの設定画面。目覚まし時計の設定と同様な設計。

➂タイマー設定は、電磁弁を開く日時、開放時間、繰り返し(時間、日、曜日)を設定できるため、定期的、定量的な散水ができる。
➃水やりの自動化 1 セットで、最大 8 つの電磁弁を個別に開閉制御でき、圃場内の水分量のムラの抑制や、養液を利用した養液栽培や土耕養液栽培にも活用いただける。
➄電磁弁の開閉は履歴として記録され、散水記録として活用いただける(図 6)。

図 6 水やりの自動化 アプリ画面・水やり履歴
電磁バルブ開閉制御の履歴画面。

3)作業の見える化(作業記録)
「作業の見える化」サービスは、スマートフォンを持参して作業することで、スタンプラリーのように訪れた作業場所や作業内容が自動的に記録され、また、利用者間で共有されるため作業管理にも活用いただけるサービスである。

① あらかじめ圃場や倉庫等に設置しておいたアグリーフの発信機(BLEビーコン)に近づくと(図7)、持参しているスマートフォンが発信機を検知(スマートフォンの操作は不要)し、発信機ごとの情報(下記➁)が自動的にクラウドサービス上に記録される。

記録された情報は、利用者間で共有されるため、誰がどこでどのような作業をしているかなども共有でき、作業管理に活用いただける(図8)。

図 7 作業の見える化 発信機
パネル下部の丸いものが発信機。これをいくつか畑や倉庫に取り付けて使う。

図 8 作業の見える化 作業場所管理(左)/作業内容管理(右)

➁発信機の情報は、発信機ごとに任意の文字情報を設定できる。発信機の情報に、圃場や倉庫等の場所の名称や作業内容を設定しておくことで、見回り記録や作業記録がスマートフォンやパソコンを操作することなく自動で記録され、省力化に役立つ(検知した発信機の情報は、前記「圃場の見える化 ➃」の日誌に集約される)。

京セラソーラーFC 兵庫丹波・株式会社タカハシとのコラボレーション 兵庫県丹波地方の基幹産業である農業は、若手の農業離れが深刻化しており、農業従事者の 90%近くが 65 歳以上と高齢化が深刻である。

同地方で事業を行っている京セラソーラーFC 兵庫丹波・株式会社タカハシは、耕作放棄地に太陽光パネルを設置する「ソーラーシェアリング」の導入を手掛けており、このような農業問題に直面し危惧していた。

ソーラーシェアリングとアグリーフのコラボした畑
下の圃場に日が差すように上空のソーラーパネルは間引き設置されている。

そんなさなか、当社の「アグリーフ」を知り、これまでの経験と勘に頼った農業からアグリーフを活用した省力化・生産性の向上と、該社のソーラーシェアリングの売電による所得を加えることで、農業従事者減少の抑制、休耕地の再生、農業参入の促進に効果的であると考え、該社の「農業自動化システム搭載営農型太陽光パネル」における営農支援ツールにアグリーフを採用いただいた。

これは、圃場の上に太陽光パネルを設置し、下の圃場ではアグリーフの「圃場の見える化」「水やりの自動化」を活用して農作物を栽培するものである。該社ではこのビジネスモデルの普及促進のためモデル農園を開設し、養液土耕栽培で九条ネギやブルーベリー等を栽培している。ここでのアグリーフの構成は以下のとおりである。

●「圃場の見える化」
測定値は、気温、湿度、照度、土壌水分、土壌温度、土壌 EC 値
●「水やりの自動化」
電磁バルブ 6 機を制御(水、液肥混合液の点滴灌漑)

今後の展開

アグリーフは、今後も「あればいいよね」を形にしていく。IT 技術を活用したサービスの展開は、AIによる栽培支援や技術継承等も検討している。また、サービスの拡張と同様に重きを置いているのが、前述のコラボレーション事例のような異業種・製品との組み合わせで起こるイノベーションであり、そのソリューションパートナー探しにも力を入れていく。

◎価格

※インターネット接続回線および機器類はご利用者様にてご用意いただきます。オプションで LTE/ 3G 回線への接続も可能です。
*1 電磁バルブやポンプ、灌水チューブなどの灌水設備類は費用に含みません。

イノベーションパートナー募集中!
前述のコラボレーション事例のように、異業種・製品とアグリーフの相乗効果で起こるイノベーションで営農を支援しませんか?ご興味のある方は、下記の連絡先よりお問い合わせください。

◆相談先
データプロセス株式会社
E-mail:sales@odp.co.jp
URL:http://www.odp.co.jp/

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