農業分野における情報共有 (農作業日誌 アルケファーム)

農作業日誌をデジタル化することで、農家にはどんなメリットがあるのか。それを導入したら儲かるの。情報の共有をキーワードに、農作業日誌アルケファームの特長とアルケミックスが今後農業分野で進みたい方向を示す。

農作業日誌アルケファームの特長

①電波の届かない圃場でも入力可能
入力作業の負担をいかに軽減するかを、開発初期からコンセプトとして意識していた。多機能なシステムはいろいろなことができる反面、マスタデータの整備や入力作業に手間がかかり、システムの操作性が複雑となるデメリットがある。

専用の事務員を抱える農家も数少なく、農作業従事者がすべての入力を行わなければいけないことも多い。一日炎天下のもと農作業を終えたそのあとに、作業場、あるいは自宅で30分パソコンに向かい入力作業を毎日行うというのは大変な負担である。

シンプルな内容をできるだけ簡単に入力してもらいたい、というイメージで開発に取り組み始めた。圃場での農作業の合間の小休止中に、その都度簡単な操作で入力作業が終えられれば、1日分まとめての入力作業が不要となる。

そのために、当時爆発的に普及し始めていたタブレット・スマートフォンを入力用端末として積極的に活するということは必須であった。同様に、農家を訪ねてゆくなかで電波の届かない圃場が少なからず存在することを伺うなかで、電波の届かない環境でも携帯端末からストレスなく入力できる必要があると考え、入力用アプリにその機能を盛り込んだ。

②メール通知機能の充実
クラウド型のシステムであるため、管理者権限でログインすることにより農家さん内の入力データをすべて閲覧することは可能である。しかし、自宅や作業場で机に向かってパソコンを操作している時はよいとしても、携帯端末のみ持って、農作業のため圃場に出ているときにブラウザを長時間操作するのは大変である。

そのため、より閲覧操作が簡単なメールで手軽に情報を共有する機能を実装した。圃場、作業、農作物、資材などで条件を作成し、その条件ごとに指定したメールアドレスに通知メールを送信することができる。

メール通知機能

たとえば圃場1は担当者がAさんなので、圃場1での作業実績が登録されると、誰が作業した場合であってもその作業登録内容が、Aさんのもとにメールで送信されるのだ。

また、資材の責任者がBさんとすると、どの圃場であっても資材投入の登録がされると、Bさんのもとにメールでその内容が通知される。この機能により、システムにログインすることなく必要な情報を農家さん内でリアルタイムに共有することを可能としたのである。

導入事例と課題

◎大阪府のナカスジファーム様
大阪府富田林市でナス、きゅうりを中心に栽培されている農家さん。

作業工数の集計を省力化し、将来的には原価管理システムにつなげてゆくことを目的としてアルケファームを導入していただいた。問題となったのは従業員数の多さと入力端末についてである。

作業場にパソコンは2台あるが、数十人が入れ替わりながら入力するのでは時間がかかりすぎる。また、従業員には個人用のスマホを所有していない者も何名かおり、人数が多いため入力用携帯端末を支給するのも経費がかかってしまう。

解決策として、作業を行う際にグループ単位で行っていることに着目し、作業者個人ごとではなくグループごとにリーダーが代表してグループ全体の作業入力を行うという方法をとることとした。

それに伴い、作業時間の入力について従来は、作業開始時刻と終了時刻を入力してもらうという方法のみであったが、複数名のグループでこの作業を行った場合、作業人数を合わせて記録しないとのべ作業工数がわからない。

そこで新しい機能として、圃場準備作業28時間のようにのべ作業時間を入力できるよう機能を実装し、グループ全体としての入力を行えるようにしたのである。今後は、原価管理システムにつなげるための機能拡張が課題である。

のべ作業時間の入力

◎兵庫県の Hopefarm 小橋様
兵庫県の丹波市で、米と野菜を栽培されている農家さん。

多品種少量生産に取り組まれるなかで、多くの作物、品種についての栽培を記録・管理するためにアルケファームを導入いただいた。こちらでは、未解決の宿題がある。

アルケファームは作物ごとの栽培履歴を明確にするため、1つの圃場には1つの作物のみ栽培できるようシステムをつくっていたのだが、多品種少量栽培において、この制約が不便な使い勝手となってしまっていることである。

1つの圃場で同時期に10種類もの作物・品種を栽培することがあるのだ。栽培履歴を混同することなく管理しつつ、入力時の制約をなくすことが課題である。

生産者、消費者、小売店の情報共有

市場動向・今後に向けて

農業IT分野では、IT関連・農機関連企業など様々な企業・団体が参入してきている。それぞれに特長が異なる様々な製品やサービスがあり、サポートをはじめとしたユーザとのかかわり方も異っている。

需要については決して多いとはいえないが、市場はまだ飽和には至っていないと考えている。中小零細に属する弊社であるが、大企業とは異なる方法でユーザ農家さんに接していくことで活路を開きたい。

アルケファームはクラウド版農作業日誌であり、主として栽培分野で農家の助けとなるシステムである。だが農家さんからは、仮にそのシステムを使って収量アップ、もしくは品質の向上につながったとしても、直接売上や収益の向上につながらない、とのご意見を伺うことがある。

システム利用料のご負担をお願いする以上、農家さん側に売上増もしくは収益増の効果がそれなりに見込めないと導入に慎重になるのは当然である。

ユーザ農家さんの声を取り入れ、アルケファームをさらにお役立ていただけるシステムに育てていくことに注力するのはもちろん、営業や販売の分野で農家さんにお役立ていただけるシステムの提案にも積極的に取り組んでいきたいと考えている。

農家に提供できるメリット

開発当初に農家さんに提案するメリットは、データ化されていない農作業・栽培のノウハウを記録し、集計・検索を可能とすることによって、次回以降の栽培の参考にしていただきたい、ということであった。
だが、いろいろなご意見をいただいた。

• 頭の中に入っている、もしくは、ノートにつけているからそれで充分。
• 自宅のパソコンでExcelを使用しているから。

このあたりも手強いご意見であったが、次の質問が最強ではないか。

• それやったら儲かるの?
これらの質問に対する回答は今も模索中ではあるが、回答に至るキーワードは“情報の共有”ではないだろうか。

①農家さん内での情報共有
お1人、もしくは、ご家族だけで農業を営まれている場合、農作業者同士の情報共有に特段何かのツールを必要としないかもしれない。だが逆に、従業員を雇用したり、法人化して大勢の従業員が分担して農作業を行う場合は異なる。

• 今日誰がどの圃場でどのような作業を行ったのか。
• 明日は、誰がどの圃場でどのような作業を行う予定なのか。

メモや、ホワイトボード、携帯電話、メールなど様々なツールを使って、作業を行うための情報のやり取りを行っている農家さんにおいて、アルケファームは、その効率化の一助となり得るのではないだろうか。

②販売先との情報共有
直取引でスーパーや小売店、飲食店に出荷する場合、あるいは、市場に出荷する場合でも栽培履歴を添付することが取引条件となることが増えている。

記憶をたどり、手書きのノートから情報を抜粋して栽培履歴をまとめる労力は大変である。
指定されたフォーマットでの印刷や、デジタルデータで栽培履歴を提出するなどアルケファームの活用で労力の軽減をはかっていただきたい。

③消費者との情報共有
農作物の小売りの現場で、作り手の農家さんの顔写真を飾ると売上が上がることがある。また、地産地消や健康志向の高まりにより従来の流通と違う地元の農家が作った野菜を特設コーナーで販売するスーパーが増えてきている。生産者とつながりたい、という消費者は増えているのだ。

栽培履歴を求める消費者は、今現在決してまだ多くはないであろうし、農薬や肥料名、その使用量や回数の意味を理解できる消費者はほとんどいないだろう。だが、方向は情報の共有に向かっていることは間違いない。

最初は、消費者の「おいしかったよ!」の一言を生産者に届けるだけでもよい。生産者と消費者の思いをつなぐことが、農家の売上・利益をつくり、農業の未来につながると信じ、その道具となるツールをつくり育てていきたいと思う。

今後のロードマップ
自治体や、営農組合などの農家さんの集合体に対し、単一のシステムを提供するだけでなく、勉強会その他のイベントを開催するなど、農家さんを含む地域全体の発展につながる活動を行い、その活性化と ITリテラシーの向上を弊社サービスの普及につなげていきたい。

また、活躍の場を海外への輸出や海外拠点での生産へと広げていく農家さんに役立つサービスを提供し、弊社のサービスを海外に展開する橋頭堡としたい。

※スマート農業バイブル ―『見える化』で切り拓く経営&育成改革より転載

◎価格

Tips
無料トライアル版は、利用登録後最大4ヵ月全機能が無料で利用可能。圃場や農作物、資材などのマスタデータ登録依頼が可能。

相談先
株式会社アルケミックス
TEL:06-6942-3229
http://www.alchemics.co.jp/

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