豊かな食の未来へ ICTで貢献

食・農クラウド Akisai(秋彩)は、「豊かな食の未来へ ICTで貢献」をコンセプトに、生産現場での ICT 活用を起点に流通・地域・消費者をバリューチェーンで結ぶサービスを展開している。

露地栽培、施設栽培、畜産をカバーし、生産から経営・販売まで企業的農業経営を支援するクラウドサービスである。なお、「Akisai」の名前の由来は、実りの“秋”、果樹・野菜などの“彩り”をイメージして命名している。

はじめに

近年、わが国において、食料自給率の向上や地域経済の活性化、雇用の拡大が重要な社会的課題となっている。その解決を図る上で、農業の収益拡大や国際競争力の強化、若年層の就農人口増は大きな鍵となると考える。

現在の農業生産現場は、就業者の 60%以上が65 歳以上という状況にあり、多くは「できたものを売る」という考えのもと、全生産物の収益と生産費用のみを把握する経営が行われている。

今後は、今まで把握できていなかった作物ごとの費用構造や収益率を見える化することで、「利益のでるものを作る」という方針のもと、現場での日々の作業実績や生育情報などに関するデータを利活用し、収益拡大につながるマネジメントを行っていく必要がある。

一方、食品加工・卸・小売・外食などの食関連企業では、競合他社との差別化、コストの改善、品質マネジメントの強化が求められている。

調達先ごとに品質管理や生育方法などが異なり、それぞれに生産調整を行う必要があるため、調達先が増えるほど調整するためのコストや、連絡漏れによる生産物の供給過不足などが発生している。

調達先のマネジメント機能を強化することで、定時・定量・定品質・定価格を実現し、食のブランド強化や収益の拡大が可能になる。

食・農クラウド「Akisai(アキサイ、日本語通称:秋彩)」

富士通は、これらの課題を解決すべく、2008年から 4 年間の農業現場での ICT 利活用実証実験の成果を踏まえ、農業経営全般を包括的に支援する業界初のクラウドサービスとして体系化し、ICTで農業経営を飛躍的に効率化させる食・農クラウド「Akisai(アキサイ、日本語通称:秋彩)」を、2012 年より順次提供している。

Akisaiは、「豊かな食の未来へ ICTで貢献」をコンセプトに、米・野菜などの露地栽培、施設園芸、畜産において、経営・生産・販売といった農業経営全般を包括的に支援する業界初のクラウドサービスであり、生産現場での ICT 活用を起点に、流通・地域・消費者をバリューチェーンで結ぶことを目指している。

富士通は、Akisaiを通じて、農業、食市場に改革をもたらす新しい企業経営スタイルへの変革を支援するとともに、いつでも、安心・安全で、おいしい食事ができる「豊かな食の未来」の実現を目指していく。なお、「Akisai」の名称は、実りの“秋”、果樹・野菜の“彩り”をイメージしている(図 1)。

図 1 食・農クラウド Akisai 商品コンセプト

実証事例

旭酒造株式会社様(本社:山口県岩国市、当時代表取締役社長:桜井一宏、以下 旭酒造)と富士通、株式会社富士通研究所は、富士通研究所が開発した日本酒造りを支援する AI 予測モデルを用いて、旭酒造が製造・販売する日本酒「獺祭」の醸造を行う共同実証実験を実施した。

本 AI 予測モデルは、日本酒醸造の流れを定義した数理モデルと、「獺祭」の醸造工程において計測される実際のデータを用いた機械学習を組み合わせることで、日本酒醸造工程における最適なプロセスを支援する情報を提供する技術である。

本実証実験では、実際に「獺祭」の醸造工程において AI予測モデルを活用することで、日本酒醸造工程における AI 予測モデルの妥当性や AI 予測モデルの精度向上、ならびに日本酒造りにおける AIの実用化について検証した(図 2)。

図 2 当時の旭酒造様との実証実験モデルイメージ

食・農クラウド「Akisai」の概要

食・農クラウド「Akisai」は、露地栽培・施設園芸・畜産に対し、生産・経営・販売といった農業経営全般を包括的に支援するサービスである。農業現場と食関連企業のマネジメントを支援する「農業生産管理 SaaS」を中心に、農業現場でのICT 活用の促進や組織的マネジメントをサポートするイノベーション支援サービスも提供している。

これらにより、農業生産者は生産プロセスの見える化や、各種データの利活用などによる収益拡大につながるマネジメントが可能となり、また食品加工・卸・小売・外食などの食関連企業は契約生産者との需給調整や品質管理のプロセスを確立することができる(図 3)。

図 3 食・農クラウド Akisai 商品一覧

農業経営における ICT 活用を通じて、富士通は3 つの“見える化”に着目した。

➀生産の見える化
圃場の状況、生産者の知識、作業同線の見える化により、原価管理・効率化が可能
➁経営の見える化
生産計画、終了実績との関連付け、損益管理が圃場/ハウスごとに可能
➂顧客の見える化
営農計画と販売実績との関連付け、損益管理が顧客ごとに可能

これらの見える化により、「ムリ・ムラ・ムダ」が解消でき、農業の競争力強化、生産者の所得向上につながると富士通は考える。

1) データを活かした企業的農業経営の実現を支援する「農業生産管理 SaaS」
日々の生産現場の作業実績や生育情報などのデータを、モバイル端末やセンサを使ってクラウド上に収集、蓄積・分析するクラウドシステムである。

蓄積されたデータから圃場ごとの品質やコストの見える化を可能とし、これらのデータを活かして、計画に対する実績の振り返り・次の営農計画への反映を行うことで、収益や効率性を高める企業的農業経営を可能とする(図 4、5)。

図 4 農業生産管理 SaaS 商品概要イメージ

図 5 農業生産管理 SaaS 画面イメージ

2) 高品質、安定供給、低コスト生産を支援する「施設園芸 SaaS-S」
遠隔地からの温室内の環境のモニタリングや、あらかじめ設定した条件で温室内の環境を自動制御できるクラウドシステムである。農業生産者は生産プロセスの見える化や温室内の遠隔監視、装置の遠隔制御により、適時を逃さず作業ができるため、質の高い作物の安定供給が可能となる。

また、本システムは日本発の施設園芸/植物工場向け情報基盤であるユビキタス環境制御システム(UECS)に準拠したシステムである(図 6)。

図 6 施設園芸 SaaS-S 商品概要イメージ

3) 農業生産工程管理の規格における監査・指導業務の効率化を支援する
「アセスメントガイド運用支援システム」

 タブレットで動作する「アセスメント支援アプリ」を使用し、様々な規定・規格における監査・指導業務の効率化を図るシステムである。本システムの第一弾として、農業生産工程管理の規格であるJGAPを対象としたコンテンツを提供している(図 7)。

図 7 アセスメントガイド運用支援システム 商品概要イメージ

4) 生産現場における環境データの収集・利活用を支援する「アグリマルチセンシング SaaS」
多地点のセンシングデータを自動的に収集・蓄積することで、現地に行くことなく複数の圃場状況を確認することができるクラウドシステムである。収集されたデータからグラフの自動生成や、設定した計算式や閾値に応じたアラーム通知を Eメールで受け取ることができる。

また、多数のユーザのセンシングデータが一度に確認できるため、現場に導入しやすい ICT 営農指導ツールとしても利用可能である(図 8)。

図 8 アグリマルチセンシング SaaS 商品概要イメージ

5) データを活かした農業経営や現場での ICT 利用推進を支援する
「イノベーション支援サービス」

農業生産者の方々と一緒に目標を設定した上で、現場で抱える様々な課題を直接ヒアリングし、ICTを利用した PDCAサイクルの提案と実践を行いながら、現場で収集したデータを活かした農業経営マネジメントをサポートする(図 9)。

図 9 イノベ―ショーン支援サービス 商品概要イメージ

今後のロードマップ

これまでは栽培も経営も生産者の勘と経験に頼っていた時代だったが、現在はセンサ等で得たデータを蓄積・活用した見える化の時代に少しずつ移ってきていると考えている。

そして今後は、未来の農業に向けたビッグデータ、およびそれを活用するための AI 技術により様々なことができる時代がおとずれ、病害虫予測や収量予測、それらに基づいた契約取引、その契約取引のための需要予測や出荷コントロールなど、5 年後、10~20年後の農業は様変わりしている可能性は十分にあると考える。

富士通は未来の農業の形においても今まで以上に農業業界の皆さまをご支援していく所存である。

◎価格
農業生産管理 SaaS生産マネジメント S: 1ID 5,000 円/月
農業生産管理 SaaS生産マネジメント ライト: 1ID 1,500 円/月
施設園芸 SaaS-S : 1 ノード 1,500 円/月

注目ポイント!
“高く売れる時期に作物を作りたい”“他よりおいしいものをつくりたい”“高収量と高品質の両立がしたい”そんな農業業界の皆さまに、Akisaiをオススメいたします。ぜひお気軽にお問合せください。

◆相談先
富士通株式会社
TEL:0120-933-200
URL:富士通 Akisai 公開サイト

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