農地とつながる「KAKAXI」

農業用モニタリングデバイス「KAKAXI」は、気温、湿度、日射量センサおよびカメラを搭載しており、オプションで雨量計も取り付けることができる。端末は付属の太陽光パネルで稼働し、既存のモニタリングデバイスに比べて設置も簡易でスイッチを入れるだけで動作する。

また端末は 3Gモジュールが内蔵されており、インターネット回線がなくても取得データはクラウド上にあがり専用ダッシュボードで見ることができる。KAKAXIは食べ物がどのように育ち食卓にのぼるか、生産現場の見える化を目指している。

開発の経緯

いま私たちが食事をするとき、その生産に携わった人の顔を思い浮かべることができるだろうか?長男が田舎に残り、次男三男が都市に出てきた昭和においては、米は実家から届くものだったかもしれない。

しかしグローバルで適地適作が進む現在において、私たちの身体を組成する栄養分ははるか海を越えて運ばれている。自分の身体にもかかわらず、それを構成する食べ物の由来について、もうわれわれは知ることができない。食べ物の生産はすでに私たち手を離れ、日常から遠く離れた世界のこととなってしまっている。

「KAKAXI」はこの生産現場と消費者の距離を縮めることを目的に開発された。農地を IoTによって繋げ、またカメラを内蔵し実際の映像としてその光景をみること。食事が機能優先、効率化するなか、生産現場のリアルな情報を付加することで食べ物、農業の価値向上を目指している。

農地モニタリングデバイス「KAKAXI」

技術特長、優位性

KAKAXIは、1 台で気温、湿度、日射量を測定する環境センサを搭載し、カメラで測定場所の画像を定期的に撮影する。外付けで雨量計を取り付けて雨量の測定も可能である。既存のモニタリングデバイスでは、電源に電池や電源コードを接続することが必要となるが、KAKAXIは iPad 大の付属太陽光パネルで動作が可能である。

また 3Gモジュールを内蔵しており世界 120ヵ国で動作することができるため、インターネット回線の工事などは不要となっている。従来のモニタリングデバイスは、設置に専門のメーカが必要だったり、設置工事に追加費用が必要であったりすることがあるが、KAKAXIは送られてきたデバイスを市販の三脚に取り付けスイッチを入れるだけで設置が可能なため、10 分の 1 以下のコストで済む。に主な仕様を示す。

表 「KAKAXI」の主な仕様

開発事例

これまでに利用いただいたユーザからの意見を反映し、新たなダッシュボードの開発を行っている。これまでのダッシュボードは、過去 7 日間しか表示できない仕様であったが、新規のダッシュボードでは、7日以外に14日、30日、90日、360日のほか、カスタムで指定した期間で見たい値を選ぶことができる。

また、2 地点など複数地点での数値の比較も可能となっている。その他、測定値のデータが欠損してしまう場合に過去のデータから AIを活用してデータの補完を行うことができる(図 1、2)。

図 1 ダッシュボード

図 2 気温の推移(青:実測値、赤:AIによる補完)

市場動向と弊社の対応

2016 年 11 月より販売をスタートし、国内外で導入が進んでいる。国内事例では、沖縄のカカオ栽培の産業化を目指しているベンチャー企業が、温室内のカカオのモニタリングに KAKAXIを導入いただいている。

また夏秋レタスの一大生産地の長野県佐久郡川上村では「スマートアグリ実証事業」を開始し、IoTやドローン技術などを導入し、圃場の遠隔管理による労働負荷の軽減、農作業の見える化、各種農業関連データの分析に基づく適正な生産計画の立案などを目指すべく、KAKAXIを導入しデータ取得に活用している。

一方で海外においては、NESPRESSOのコロンビアなどのコーヒー農園に KAKAXIが導入され、取得された農場の画像がホームページ(A WINDOW TO COFFEE FARMS)上に掲載されている。

川上村での KAKAXI 設置状況

画素数の変更に向けた試験

ユーザメリット

KAKAXIは月額 9,800 円のリースとなっており、初期費用がかかりやすいモニタリングデバイスの中で初期コストを減らして設置が可能である。また天候などの不具合での故障した際には、無償で交換対応を行っている。この手の機器のセンサは精度が高く安価な新しいセンサが次々と出てくることから、KAKAXIは耐用年数を最大 2 年程度とし、常に新しいセンサを内蔵したバージョンを提供することを目指している。

今後のロードマップ

現在は、植物体の生育状況を画像で判定できるようにカメラ画質を 30 万画素から 200 万画素への変更を進めている。また、タイムラプス画像の間が粗かったが、フレーム補完技術により滑らかなタイムラプス映像の生成も実装も行なっている。

◎価 格(月額)
端末:9,800 円 雨量計:980 円 API:2,980 円
※月額リース制、最低利用期間は 1 年間となります。
※雨量計、APIはオプションとなります。
※利用終了後、端末をご返却ください。

Tips
栽培時の気象データだけでなく画像も撮影しているため、消費者へ作物が育てられている様子も伝えることができます。ぜひ、生産現場の見える化にご活用ください。

開発元
社 名:Kakaxi, Inc
住 所:440 N Wolfe Rd, MS-183 Sunnyvale, CA 94085
ホームページ:https://kakaxi.jp/

◆相談先
株式会社リバネス
E-mail:kakaxi@lnest.jp
URL:https://lne.st/

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