稼げる農業を目指す農業ソリューション クラウドシステム「web-Watcher ® 」 ~圃場とつながるプラットフォーム~

はじめに

現在、 就農人口の減少、 就農者の高齢化、 耕作放棄地の増加など、農業をとりまくさまざまな課題を解決するために「稼げる農業」の確立が最重要である。

新規就農者でも安定した生産ができる環境を作り、問題解決を図るために、弊社は2018年春から農業用クラウドシステムのサービス提供を開始した。本稿ではIoT技術を活用し、知識、経験、勘を定型化するためのクラウドシステム「web-Watcher ® 」を紹介する。

「web-Watcher® 」開発の背景・経緯

愛媛県松山市に本社を置く弊社は、全国で10万台を超えるトラック等のデジタルタコグラフやドライブレコーダ、および車両運行管理システムの開発と販売を20年以上行っている。

ユーザーは、車両に設置した機器によって速度・運転時間・位置情報などの運行状態をクラウドサーバと定期的に通信することでクラウドデータ化し、管理システムを利用できる。

長年デジタルタコグラフで培ってきたIoT開発力を農業分野に展開し、昨今の農業の問題を解決するため、圃場をモニタリングするための機器およびクラウドサービスの販売提供を2018年春に開始した。

圃場に環境センサを設置し、サーバに集積したデータをインターネット端末から確認および分析ができる。またシステムには作業記録や生育記録、農業資材の使用履歴も登録でき、環境に対する作業の効率性を後で分析することもできる。

「web-Watcher® 」のシステム概要・製品サービスの優位性

1)システム構成
圃場には各種環境センサを接続したi-Node® を設置する。i-Node ® に集積された環境データはi-Gateway ® を経由し、インターネット回線を通してweb-Watcher ®のクラウドサーバに蓄積される。

ユーザーはPC、タブレット、スマートフォンなどのインターネット端末からクラウドにアクセスし、圃場の様子を常にモニタリングできる。

システム構成

2)i-Node®
i-Node® はセンサデータを定期的に収集する。計測間隔は最短1分間からユーザーの任意で決定できる。i-Node ® 1台で最大5個までセンサをつけることができ、防水性、防塵性に優れているので、施設栽培だけでなく露地栽培でのデータ収集にも適している。

さらに電池駆動が可能なため、外部電源が確保できない圃場においても使用できる。また、i-Node ® に外部機器を接続し、PC、スマートフォンから遠隔操作することもできる。

これによって圃場に設置している換気扇やかん水装置などのON/OFF操作が在宅時、外出中も可能になる。

距離が離れた圃場をもつユーザーには、大幅な移動時間やコストの削減ができる。i-Node ® に接続するセンサは他種類への交換や追加接続が可能であり、ユーザーの測定項目の要望に柔軟に対応できる。

i-Node

3)i-Gateway®
i-Gateway ®はi-Node® からのデータを集約し、クラウドサーバに中継する。i-Node ® とi-Gateway ®の間は無料無線通信(LoRa通信)を採用しており、見通しのよいところでは最大3kmまで通信可能である。

通信範囲内ではi-Gateway ® 1つで複数のi-Node ® と通信でき、インターネット回線を通じ、集約したデータをweb-Watcher®のクラウドサーバへ送信する。

また、オプションで外付けカメラを設置すれば、映像で圃場の様子を確認することができる。i-Node ® と同様、外部機器を接続して遠隔操作することもできる。

i-Gateway

4)web-Watcher®
web-Watcher® は、i-Node®、i-Gateway®を使用した農業ソリューションクラウドシステムである。web-Watcher®の大きなメリットは「環境モニタリング」「作業の記録、労務管理」「データ分析」の3つである。

web-Watcher ® のユーザーメリット

1)環境モニタリング
離れた場所でも現場でも、センサによる数値化で圃場の様子をいつでも「見える化」できる。またそのデータは蓄積され、作物の生育に影響する重要な環境要素を数値やグラフで簡単に確認でき、データに基づいた適切な栽培環境を作ることが可能である。

・遠隔地にいるときも環境値の変化を確認できることで、圃場巡回の回数を減らし、移動時間短縮と省力化を図ることができる。

・各測定項目に対して任意に設定された上限値、下限値を外れた値が検出されると、警告メールが2段階で送信される。設備の異常や作業忘れなどに起因するトラブルから大事な作物を守ることができる。

・積算温度を算出し、作物の生育段階の予測や病害虫の発生予測に利用できる。たとえば指定された積算開始日からの積算値を参考にして、圃場環境の調整による収穫タイミングのコントロールや農薬散布実施の判断に活用できる。

・i-Gateway ® に接続できるオプション外付けカメラを使用すれば、圃場の画像を定期的に撮影し、定点カメラとして作物の生育状況の確認や、圃場状況の確認等に活用できる。

2)作業の記録、労務管理
日々の作業や記録を残しておくことで、環境データと連携した分析が可能。農薬・肥料の使用履歴のレポートも作成でき、トレーサビリティやGAP認証の取得による食の安全に対するニーズにも応えられる。

・作業の入力は事前に登録した入力項目を選択するのみ。現場で作業内容を選び、開始および終了ボタンを押せば、スマホのGPS機能で圃場が選択され、作業記録がクラウドサーバに自動登録される。

・作物の栽培状況のメモや撮影した写真をクラウド上に保存でき、後で調べたい時に記録を簡単に検索できる。

・圃場別、作業別などの条件を指定して、参照したい履歴データを簡単に探すことができ、計画的な作業スケジュールを立てることに役立てられる。

・「農薬散布」「施肥」作業の入力時には、詳細情報の入力画面が表示される。画面では、農薬、肥料の使用方法や制限事項などの情報を参照することができ、過去の使用履歴と合わせて確認し、適切な使用方法に従うことができる。

・作業記録や農薬肥料の使用履歴はCSV形式のデータとしてダウンロード可能。Excel等のアプリケーションを使って自由に加工できる。

3)データ分析
過去との比較や圃場間の比較により、品質や収穫量に影響を与える環境要因や作業内容を把握。環境条件の最適化や作業の効率化を図り、品質の安定、生産性の向上につなげられる。

・複数の測定項目を同時にグラフに表示して、項目間の相関性を把握できる。作業履歴と合わせて参照すれば、施肥や散水による土壌条件の変化、換気による気温、湿度の変化などを確認でき、作業効果の検証に役立つ。

・作業記録をもとに作業コストや資材経費を合算し、圃場にかかった全体コストを計算でき、より効率的な作業計画を立てることが可能。

・異なる圃場のデータを比較して、日当たりや水はけ等の圃場ごとの特性を把握できる。また、栽培過程の違いが生産実績にどのように影響したのかを分析して見直し、翌期の生産に活かす「改善サイクル」を実現できる。

今後の展開

前述したとおり、i-Node ® は高防塵性、高防水性であり、施設栽培でも、これまで導入が難しかった露地栽培場面でも使用できる。

そのような場面でも、知識、経験、勘に頼りがちであった作物の判断基準を数値化して分析することで、かん水や施肥防除などの無駄を少なくし、省力化と効率化アップを目指す提案を行っていく。

たとえば、土壌水分率を目安にした夏場のかん水回数調整や、積算温度を目安とした防除時期調整、携帯端末で外部機器を遠隔操作することで圃場への移動軽減など、省力化、時間短縮、コストダウンを図ることができる提案である。

また蓄積された環境測定データおよび作業履歴データと、途中結果および最終結果を、総合的に比較分析することで、次作への作業や設備の改善点を抽出でき、データを基に収益性を高める栽培をすることができる。

つまり収穫までに、どのくらい人やモノのコストがかかり、どのくらい収益があったかを数値で把握することで、圃場ごとの収益性を「見える化」し、「稼げる農業」を実現することができる提案を行っていく。

◉価格

注目ポイント !
「稼げる農業」を実現
・圃場環境モニタリングで、圃場を「見える化」
・携帯端末を使った外部機器の遠隔制御
・作業日誌、生育記録、資材記録を同一システムで管理

◆相談先
株式会社 NPシステム開発 IoT 事業部
TEL:089-994-6294
E-mail:komatsu@npsystem.co.jp
http://www.npsystem.co.jp/

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