米作り作業で避けて通れない朝・夕の水門やバルブの開け閉め等の水管理を、スマホのボタンひとつで簡単に遠隔操作できる「paditch(パディッチ)」シリーズに、新しく「paditch drain 01(パディッチ ドレイン)」が登場する(2021年4月1日・販売開始予定)。
「paditch」シリーズ第三弾となる「paditch drain 01」は、水田の排水を自動制御できる装置。田んぼの水を排出・貯水がスマホで行える上に、遠隔で「田んぼダム」化も実現できるなど、防災にも役立つ製品として自治体からも注目を集めている。
富山発。水管理の苦労を軽減するために開発
「paditch(パディッチ)」シリーズを開発・販売する株式会社 笑農和(えのわ)の下村豪徳代表は、富山県の米農家の長男として幼い頃から農家の苦労を体感してきた。
「農業は重労働で休めない」「明るい未来が見えにくい」などの現実を知るに連れて農業から気持ちが離れていき、まったく異業種のIT企業へ就職。
その後エンジニアとして力を付けていく中で「ITの技術を取り入れることで、農家の負担を減らすことができるのでは?」と考えるようになり、高齢化や人手不足で悩む米農家の一助になる決意を持って笑農和を立ち上げた。
まずは「米農家が一番負担に感じている作業」の課題解決を目指すことからスタート。米農家は朝と夕方に水田の様子を見に行く作業が必要だが、実はこれが時間も体力も消耗する大変な作業。
そこを改善したいと考えた下村代表は、水を調節する「水門」や「バルブ」を自宅に居ながら簡単にできないかと試行錯誤する。
こうして遠隔操作で水田の「水門」や「バルブ」の開け閉めができる水管理システム「paditch」が誕生した。
スマホでかんたん水管理「paditch」にできること
◆paditchの実力①……水管理の手間や時間が80%ダウン(※1)
◆paditchの実力②……米の収穫量が16.4%アップ(※2)
(※1)2017〜2019年農林水産省の実証実験結果
(※2)2020年農研機構による検査結果
「paditch」は、水田・田んぼ向けの自動給排水制御装置。自宅に居ながらスマホやタブレットのボタンひとつで、水門やバルブを一括で開閉することができる。
たとえば、何枚もある広い田んぼを一ヵ所ずつ車でまわったり、車では行けない細い畦道を何分もかけて歩いて行って手作業で開閉したりなどの手間が省け、大幅な時間と労力の削減につながる。
水田の水管理を思いのまま遠隔操作できることで、いちいち田んぼの水位を気にすることなく生活ができ、日常での自由な時間や他の作業に回す時間を確保できることが最大のメリットとなる。
余裕のある時間を持つことにより、耕作面積の拡大や細かな管理なども可能となり、収穫量が増加するという流れに。
また、現在の米農家の平均年齢は65歳を超え、深刻な高齢化と後継者不足に直面しているが、「paditch」を利用することで体力的にも大きな負担減となる。
辛く大変な作業を軽くすることで、次世代を担う若い農業者を増やすことに繋がっていく。
「paditch」導入のビフォーアフター
「paditch」の導入前と導入後を比較したケースをピックアップ。毎日の大変だった水管理が、スマホやタブレットで簡単に解決。難しい操作もなく、誰でも容易に扱うことができるため、年配の農業者も安心して使用できる。
<導入ケース①>
導入前:水嵩が増えた場所が分からず、いつも探し回って確認している
↓
導入後:水位や水温に連動して自動開閉するので、探す手間がなくなった
<導入ケース②>
導入前:田んぼの数が多いため、朝早く起きて取水するのが大変
↓
導入後:開閉がタイマー設定できるので、朝の時間に余裕ができた
<導入ケース③>
導入前:雨や嵐の日は水門やバルブが気になって何度も見に行く
↓
導入後:スマホで水位を管理できるので水管理の心配がなくなった
<導入ケース④>
導入前:「ジャンボタニシ」に水稲を食べられる被害に悩んでいた
↓
導入後:「ジャンボタニシ」が動けない水位を自動管理、被害が減った
西日本を中心に問題になっている「ジャンボタニシ(スクミリンゴカイ)」は、田んぼの水が2㎝以上あると自由に動いて稲の幼苗を食べてしまう。
その被害を防ぐためには「ジャンボタニシ」が自由に動けない水位1㎝を保つ必要がある。手作業の調節で水位1㎝をキープすることは容易ではなく、朝から晩まで水管理に神経をすり減らしていたという米農家の方が「paditch」を導入後、その負担が一気になくなった。
「paditch」は1㎝単位という細かな水位調節が可能なので「ジャンボタニシ」が動けない水位をキープすることが簡単にできる。
「ジャンボタニシ」被害防止の対策にも効果があるとして、自治体を含め各地から問い合わせがきているとのことだ。
4/1発売「paditch drain 01」何ができる?
2021年4月1日に新発売する「paditch drain 01」は、その名のとおり「drain(ドレイン)=排水、流しだす」という機能を持つ「paditch」シリーズ初の排水自動制御装置。
水田に水を入れる自動制御装置「paditch valve」「paditch gate」と合わせて使用することで、入水と排水という水管理を同時に遠隔操作できるようになる。
さらに「paditch drain 01」は、遠隔で「田んぼダム」化が実現できることが大きな特徴としてあげられる。局所豪雨や水害などが懸念される地域において「田んぼダム」は防災にも役立つとされ、自治体からも推奨されている。
■「paditch drain 01」導入のメリット
POINT①…排水指示による水位調整・中干管理が可能
POINT②…タイマー設定をして排水管の自動制御が可能
POINT③…0~20㎝の高さまで20段階で排水管を制御可能
給水側の「paditch valve 01」との連携で、田まわり時間のさらなる削減が可能に。
遠隔で水田の「田んぼダム化」も実現
「田んぼダム」とは、水を貯める田んぼの性質を利用し、大雨や局所豪雨の時に一時的に田んぼに雨水を貯めておく状態のこと。排水路や川へ大量の水が流水することを防ぐことで洪水被害を軽減する取り組みとして、行政・自治体単位で行うことが多い。
「paditch drain 01」は水田の排水をスマホで自由に操作できるため、遠隔で「田んぼのダム化」を実現できる。豪雨時や災害時に現地まで行って手作業で「田んぼダム」にする必要がなく、人的な二次災害の危険性も大きく減ることも期待される。
パディッチ愛用中、米農家さんの声
実際に「paditch」シリーズを導入している米農家さんの声をご紹介。
【富山県下新川郡/有限会社サンライス青木・青木さん】
深夜や早朝に水田に行かなくて済むようになったのはとても助かっています。農業人口が減少している中で、若い世代には農業が面白いと思えるような魅力を与えてあげないといけない。
その点で普段からスマホを触っている世代に「paditch」はピッタリだと思う。また、水田の面積が大きければ大きいほど、導入する価値は高まると思います。
【富山県高岡市/農事組合法人二上みらい・堀さん】
導入前の水管理は、「毎朝・入水 → 毎夕・止水」をしていましたが、田圃の水位状況を見つつ天候を考えながら、スマホでいつでも遠隔操作ができるようになりました。思っていた以上にセンサーの精度が高いので、若者にも受けが良い製品だと感じています。
「株式会社 笑農和(えのわ)」どんな会社?
富山県滑川市に本社を構える株式会社笑農和は、「IT農業を通じて、笑顔の人の和を創り社会に貢献する」を企業理念に掲げ、スマート農業の推進・農業IoT開発・農作物販売を行っている。
「paditchの認知度も少しずつ高まり、全国各地の米農家さんに喜んでいただいております。導入された農家さんは皆声を揃えて“早く使えば良かった”と言ってくださいます。毎日の作業が劇的に楽になりますし、浮いた時間を他のことに費やせます。まずは気軽にお問い合わせください」と下村代表。
生産者の悩みを解決するために「paditch」を開発してきたという経緯もあり、サポート体制やアフターフォローにも力を入れている。
「私たちは農業機械を売っているのではなく、農業が向上するためのシステムを提供する会社です。生産者さんの目線で悩みを受け取り、同じ気持ちを持ってお手伝いしています。ですから売りっぱなしは絶対しません。他社にはない密度の高いサポートができていると自負しています」
農業現場から聞こえる声を「見える化」し、生産者の悩みを解決するために開発を続けている「paditch」シリーズ。今後も改良と新開発をどんどん推し進める予定だ。
農家の負担軽減、次世代につなぐ持続可能な米づくりの実現、100年後も美味しいお米を食べられる未来を目指して取り組みは続く。
◉排水自動制御装置「paditch drain 01」の情報はこちら
https://paditch.com/product/paditch-drain-01
◉スマホでかんたん水管理「paditch」シリーズの情報はこちら
https://paditch.com/
◆お問い合わせ
株式会社 笑農和
https://enowa.jp/
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