MicaSense社による ドローン搭載用最新のセンサの紹介

製品開発の経緯

MicaSense社(マイカセンス)は2014年に設立されて以来、ドローンに搭載する高品質なセンサを提供する会社として急速な成長を遂げてきた。米国シアトルに本社を置く同社は、農業分野や光学設計のエキスパート集団が在籍するエンジニアリングカンパニーである。

最初にリリースされた製品「RedEdge(レッドエッジ)」は、様々な農業用途向けドローンに搭載されて、信頼性の高いキャリブレーション済みの正規化植生指数(NDVI)やその他の植物の健康状態を示す指数を得る手法を提供してきた。

今日では、さらに製品のラインナップを増やし、熱画像、マルチスペクトラル画像および高解像度画像を一度のフライトで撮影可能な3 -in-1センサ「Altum(アルタム)」を発売するに至っている(図1)。

図 1 MicaSense 社によるドローン搭載用センサ

品質と正確性および拡張性にフォーカスしたMicaSense社の製品は、研究者および学術機関に科学的な裏付けの取れた製品の開発を可能にし、農業従事者に対しては価値あるデータの利用を実現した。各製品の特長は下記のとおりである。

【RedEdge-MXの特長】図2
・ 金属の筐体による優れた耐久性
・ 光校正の精度を高める新設計のDLS2(Down-welling Light Sensor 2)
・ 5種類の狭帯域スペクトラルを飛行中に撮影
・ 高解像度:8cm/pixel@120m(400フィート)上空から撮影の場合
・ 高度なジンバルを不要とするグローバルシャッタタイプのイメージセンサを使用
・ ジオタグが付加されたすべての画像は、SDカードに記録
・ ホスト(機体等)からの操作なしで単独での動作が可能、または、機体からの外部トリガによる操作も可能
・ Wi-Fiが利用できる端末であればウェブブラウザを介してカメラのコンフィグレーション(各種設定)を行うことが可能
・ 取り付けを簡単にする組み込みマウンティングポイント

図 2 RedEdge-MX

【Altumの特長】図3
・ マルチスペクトラル画像、熱画像、高解像度画像の同時撮影
・校正された熱画像とマルチスペクトラル画像
・ 高解像度:5.2cm/pixel@120m(400フィート)上空から撮影の場合
・USB3.0の外部
・高速な画像キャプチャレート(1枚/秒)
・様々なドローンとへ搭載が可能

図 3 Altum

ユーザへの利点
【RedEdge-MX】
・ 1回の飛行により植物の健康状態を示す各種インデックスとRGB画像を生成可能
・ 放熱効率に優れたアルミニウムの筐体により優れた耐熱性を実現
・ 環境温度は上限60℃(140°F)まで運用が可能
・ 様々なドローンに搭載することを可能にするコンパクトサイズ
・ 正確な校正により、撮影ごとのデータ比較が可能
・ 外部のコンバータを不要にし、取扱を簡単にするワイドな許容入力電圧
・ 機械可動部品をなくし耐久性を高めた設計
・ すべてRawデータを利用可能:出力データは様々なプロセッシング処理および解析のソフトで利用可能

【Altum】
・ 1回の飛行により植物の健康状態のインデックス、表現型、水のストレスの情報が取得可能
・ 高速飛行を可能とする高速なキャプチャレート
・ 高高度撮影でも高分解能で撮影可能:120m上空からGSD(Ground Surface Distance)5.2cm/pixelで撮影
・ 大容量のUSB3.0ストレージ:ストレージデバイスを交換することなく長時間のフライト撮影が可能
・ 標準的なTIFFファイルでの出力:ユーザでプロセッシング処理と解析のソフトを選択可能

採用事例

MicaSense社のセンサを利用した事例を図4〜6に示す。また、各事例はブログでも公開している(https://blog.micasense.com/)。

図 4 Altumによる正規化レッドエッジ指数
(NDRE)画像

雑草の発生場所を特定している。

図 5 Altumによる熱画像スプリンクラーの散
水状況が見て取れる

図 6 Altumによる高解像度映像の例
上空60mから撮影してカボチャの果実が認識できる。

トレンドについて

MicaSense社の初期のユーザの内訳は、主に学者と企業の研究者で、次に多かったのは農家、農場の管理者および農場の調査員であった。学者や研究員は、マルチスペクトラルデータを試験農場で発生する微細な葉緑素とバイオマスの変化を認識するために利用し、記録していた。これは、追肥の実験や、植物の育種における表現型の決定に役立つ。

また、マルチスペクトラルデータを利用したNDVIとRGBマップは、農家、農場の管理者および農場の調査員にストレスの発生しているエリアを特定する手法をとして利用され、問題を早期に解決するためのツールになった。時間の経過とともにセンサとUAVがともに簡単に操作できるように改良され、UAVへセンサインテグレーションが容易となった。

ドローンの普及とともに農業分野でマルチスペクトラル画像の利用も増加してきた。昨今の特定の作物における解析手法の発展は、画像を利用することによって、収穫のタイミング、灌漑そして肥料と農薬散布を最適化/最小化することが可能となることを明らかにし、生産者の注目を集めている。

マルチスペクトラル画像解析においてこれから期待されることは、さらに各種植物でさらなる解析手法が開発されることである。最終的には、画像の解析から得られた分析結果により、生産者の意思決定をサポートする手法を確立し、既存のワークフローの中に採用されることが必要である。

この特殊な分析手法を実現するためには、より多くのデータレイヤーが必要となる。そして、高解像度のRGB画像、熱画像、マルチスペクトラル画像はすべて農業分野で実用的な情報を得るために利用されてきた。ここにおける問題は、これらの3種類の有益な情報を一度に取得することが困難であったことである。

以前、ユーザは、複数のセンサを飛行ごとに搭載し直すか、センサを複数搭載して、得られたデータを後処理にて同期化する必要があった。このような背景のもと、Mi-caSense社は、より多くのデータレイヤーの同期取得の必要性を感じ、Altumセンサの開発のアイデアとした。

Altumを利用した場合、RGBコンポジット、植生指数と熱マップは、1つのセンサ、1回の飛行から生成され、これらのデータは同期されており、ラジオメトリック校正されている。

Altumの提供する、マルチスペクトラル画像、高解像度 RGBおよび熱画像の組み合わせは、各種植物で新しい解析の手法を生み出す可能性をもたらすだけでなく、さらに高精度なデータセットを必要としている学者および研究者にも貢献する。

※MicaSense社:https://www.micasense.com/

担当者よりひとこと !
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相談先
株式会社ジェピコ 新規事業推進部
TEL:03-6362-0316
E-mail:jepico_HSP@jepico.co.jp
http://www.jepico.co.jp/

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