ITのチカラで農業経営を支援する 「Agrion(アグリオン)」

Agrion(アグリオン)は、農業活動を記録し働き方を見える化するアプリである。「いつ・どこで・誰が・何をしたのか」というシンプルな情報を日々収集し、作業時間を見える化する。

手書きからアプリへ移行するためのツールとしてはもちろん、何にどれくらい時間を使っているか分析して、仕事を効率化するためのツールとして活用されている。

Agrion 誕生の背景

Agrionサービスを提供・運営する株式会社TrexEdge(トレックスエッジ)は、スマートビレッジの実現をビジョンとして掲げている。

スマートビレッジとは、最新のテクノロジーを用いて、生活インフラやサービスを効率的に管理・運営し、環境に配慮しながら、継続的に経済発展していくことを目的とした新しい地方都市である。スマートシティとの大きな違いは、第一次産業である「農業」、「林業」、「漁業」を含めて実現することだ。

Agrionのコンセプト

スマートビレッジ実現の第一歩として、農業経営支援アプリ「Agrion(アグリオン)」の開発に着手。2016 年 10 月 にベータ版をリリースし、2017 年 4 月に製品版をリリースした。

Agrionは、農業活動を記録し働き方を見える化するアプリだ。「いつ・どこで・誰が・何をしたのか」というシンプルな情報を日々収集し、作業時間を見える化する。Agrionの最大の特徴は、「定植」や「施肥」、「農薬散布」などの栽培・生産に関する活動だけでなく、「圃場間の移動」や「準備」、「後片付け」、「打ち合わせ」など、農業経営に関するすべての活動を記録することだ。

フォーカスした課題

Agrionが取り組む課題は、以下の 3 点である。

➀情報整理の煩雑さ
農業従事者が農薬散布や定植などの作業日誌を記録する際、一度ノートやカレンダーに手書きした後で提出用に清書することがある。また、パソコンを使って記録する際は、1 日の仕事が終わってから疲れた状態で入力している。これらのやり方では、後から情報を探すのに手間がかかるしミスも起きやすい。そもそも記録すること自体が面倒な作業で習慣化されにくい。

➁経営分析の困難さ
圃場ごとの収支や作物ごとの原価、物流費も踏まえた利益率などのように、経営視点での数字を見ることが難しく、法人として成長するための基礎ができていない。

➂業務の不明瞭さ
農業の仕事は作業する人それぞれにやり方があり、標準化が進んでいない。そのため、誰がどこで何をしたのか把握することが難しく、組織運営する際のボトルネックになっている。これらの課題を解決するために、Agrionはスマートフォンを使ってリアルタイムに経営分析に必要なデータを収集し、経営と業務を可視化する。

業務とテクノロジーをデザインする

Agrionは「人の働き方」に着目している。たとえば、面積当たりの収量を増やすよりも作業効率を改善して 1 人が扱える面積を増やすという具合だ。だからこそ、「圃場間の移動」や「準備」、「後片付け」、「打ち合わせ」など、農業経営に関するすべての活動を記録し業務を変えていく。

これを実現する Agrionのアーキテクチャーとして特筆すべきは疎結合であることだ。パソコンやスマートフォン、タブレッドなど複数デバイスでデータを同期するクラウド型のシステムであることはもちろん、サーバ実装と画面実装を分離し、画面は SPA(Single Page Application)として開発することで開発スピードとメンテナンス性を向上している。

サーバは RESTfulな設計にすることで、柔軟に拡張可能で、外部サービスとの API連携が容易に行える。当然の如く、ベータ版からハイブリットアプリで開発しており、iOS とAndroidは同時開発だ。Agrionは経営視点で業務を改善していくアプローチとそれを実現するテクノロジーを一体に捉えており、業務とテクノロジーに理解の深いメンバーで構成するチームが運営している。

導入事例

Agrionをベータ版から利用している、Agrionトップランナーの株式会社ベジアーツ(以下、ベジアーツ)における導入事例について紹介する。ベジアーツでは、Agrionに記録することを従業員に定着させ、作業記録を Agrionに集約している。

圃場で作業するメンバーがスマートフォンで記録し、管理者がパソコンで作業全体を把握し、適時適切に指示を与えるスタイルだ。また、1 年以上蓄積したデータの活用も進んでいる。

たとえば、作業時間全体のうち大部分を占める収穫作業を効率化するために、機材導入を決めた。数字に基づいた投資判断に、Agrionが活用されている。今後は蓄積したデータの分析を進め、さらなる経営改善に取り組んでいく。


PC- 日別作業時間集計画面


PC- 圃場別作業時間集計画面

Agrionユーザとの接点で見えた課題

現在、Agrionは製品版リリースから 1 年を迎え、全国の農業従事者に利用されている。2018 年から始めた取り組みの 1 つに、Agrionユーザとの接点強化がある。東京都品川区のビル群に囲まれたオフィスで開発を進めていては、Agrionが提供する機能・サービスとユーザが求めるニーズにギャップが広がっていくと考えたからだ。

直接、利用シーンや Agrionに対する意見・要望を伺うなかで、これまで見えていなかった課題が浮き彫りになった。農業が産業としてはまだまだ未熟な段階で、それゆえ IT 導入も他産業に比べて遅れていることは「情報」としては知っていたが、今回の接点強化を通じて、そのリアルな現場の状況を目の当たりにした。

また、農業生産法人の成長ステージによって、IT 投資に対する考え方にはっきりとした違いが見えたことも成果として大きい。一方、シンプルで使いやすく、手書きの農業日誌から移行できたとのうれしい声や、問題意識が高く、改善・成長への情熱があるユーザからは、Agrionの今後の成長に大きな期待を寄せていただいた。

今後の展望

Agrionは、作業記録アプリから農業経営支援アプリへと領域を広げ、農業生産法人の成長ステージに合わせたワンストップサービスを始める。まずは、受注・出荷・請求といった取引業務の支援サービスだ。

具体的には、受注データの登録機能、納品書や出荷指示書などの帳票類の出力、売上データの管理、クラウド会計サービスへのデータ連携などである。農業生産法人の経営者をバックオフィス業務から解放する。ぜひ、空いた時間を売上を伸ばすために使ってもらいたい。また、IT 導入全般に対しても支援していく。

手書きからアプリへの移行に始まり、そのデータの活用や IT 導入による経営改善など、Agrionが農業の IT 化を牽引していく。農家のベストパートナー農業経営支援アプリ「Agrion」にぜひ期待してほしい。

◎価格
Freeプラン: 0 円
Standardプラン:800 円(1 グループひと月あたり)
初期登録代行サービス:21,600 円から

Tips
まずは、紙の圃場台帳を Agrionに変えることから始めましょう。圃場を地図上に登録するのはパソコンを使うと便利です。

◆相談先
株式会社 TrexEdge
E-mail:support@agri-on.com
URL:https://www.trexedge.co.jp/

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