「Plantect TM」 ―ボッシュのスマート農業ソリューション―  センサと AIを使用した革新的な病害予測機能搭載モニタリングサービス

ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーで、その起源は、1886 年にロバート ・ボッシュ(1861~1942 年)がドイツ・シュトゥットガルトに設立した「精密機械と電気技術作業場」に遡る。

事業はモビリティ ソリューションズ、産業機器テクノロジー、消費財などにとどまらず、センサ技術、ソフトウェア、サービスに関する豊富な専門知識と独自クラウド「Bosch IoT cloud」を活かし、様々な分野にまたがる IoTソリューションをワンストップでお客様に提供することが可能である。

はじめに

農業では、収穫量や農作物の価格変動などによる農家の不安定な収入が課題の 1 つだが、収穫量に影響を及ぼす主な要因として、自然災害などの外部環境にともなう要因のほかに、病害の発生が挙げられる。

昨年 2017 年、ボッシュの日本法人、ボッシュ株式会社は、病害予測で AIを利用した革新的なハウス栽培向け病害予測搭載モニタリングシステム「Plantect TM (プランテクト)」を発表した。IoTソリューションに必要な 3 つのレベルであるセンサ、ソフトウェア、サービスを一貫して手がけるボッシュの強みを活かし、ハウス栽培の収穫量向上に貢献する。

特徴/機能

ハウス内で栽培される多様な作物に対応するPlantect TM は大きく 2 つの機能を提供する。「センサによる圃場のモニタリング」と「AIを活用した病害リスク予測」である。「センサによるモニタリング機能」はハウス内環境を計測するハードウェアと、計測された数値を表示するソフトウェアで構成されている。

ハードウェアには、3 つのセンサおよび通信機(図 1)が備えられており、ハウス内に設置することで、気温(℃)、相対湿度(%)、CO2濃度(PPM)、日射照度(W/m 2 )および気温と相対湿度から、飽差(g/m 3 )や露点温度(℃)が計測される。


図 1 病害予測搭載モニタリングシステム「Plantect TM (プランテクト)」

「AIを活用した病害リスク予測機能」では、蓄積されたデータを基に、病害の発生リスクを 54 時間先まで予測することができる。モニタリング機能でクラウドに送信されたデータは、ボッシュ独自のアルゴリズムにより葉濡れなど病害発生に関わる要素が解析され、気象予報と連動し、植物病の感染リスクの通知をアプリ上に表示する。

現時点での病害予測は、トマトにおける「灰色カビ病」および「葉カビ」に限定されているが、ボッシュ独自のアルゴリズムと各ハウスのモニタリングデータをもとに病害の発生を予測するため、これまでの広域での注意喚起と異なり、各ユーザ向けにカスタマイズされた病害予測を可能にしている。また過去データの検証では 92%の予測精度を記録している 注 1
※注 1:2017 年 6 月 Press Release 時点での予測精度。

システム構成

Plantect TM は、通信方式に省電力などの特性を考慮し、長距離無線通信(LoRa)を採用している。圃場に設置されたそれぞれのセンサは LoRa 通信を介して圃場データを通信機に送信する。

通信機で受け取られたその圃場データは LTE 通信網を介し Bosch IoT Cloudサービスに送信され、データベースに格納される。圃場データはクラウド上で処理され、ユーザはスマートフォンや PCなど各種デバイスから Webベースのアプリを通じてクラウド内のデータにアクセスすることができ、これにより、ユーザはいつでもどこでもリアルタイムでハウス内環境の確認、過去データの参照が可能になる。

また、病害予測アルゴリズムもこの Bosch IoT Cloud 上に実装されている(図 2)。 表 1 に主な仕様を示す。


図 2


表 1 主な仕様

優れたユーザエクスペリエンス

AIによる予測から、病害リスクの軽減やモニタリングデータによる圃場環境の把握が可能なだけでなく、利用しやすさが最大限に考慮された、優れたユーザエクスペリエンスも提供されている。

1)ワイヤレス対応
先述のとおり、Plantect TM は、通信方式に長距離無線通信(LoRa)を採用している。その通信距離はセンサと通信機の間で約 1.5Km 注 2 にもなり、離れた圃場でも利用いただきやすい設計になっている。

また、センサはバッテリ駆動のため、電源コンセントや通信ケーブルなどの配線を含めた初期設置のための施工を考慮することなく、ハウス内のどこにでもワイヤレスで簡単に掛けるだけで設置することが可能となっている(図 3)。


図 3

バッテリは、市販のアルカリ電池で約 1 年間稼動可能となる。1 つの通信機には 30 個までセンサの接続が可能となるため、通信可能な範囲であれば、圃場ごとに通信機の設置を行う必要もなく、コストの削減にもなる。
※注 2:通信距離は現場状況により異なる。

2)リーズナブルな運用コスト
Plantect TM は、ユーザにとって導入しやすい料金体系を整えており、初期費用を無料とし、月額の使用料金のみでサービスを利用できる。月額の使用料金には、センサおよび通信機本体の料金、サービス利用料金、クラウドサービス利用料金、通信費用すべてが含まれており、スマート農業を始めやすい設定となっている。

基本プランの使用料金にはモニタリング機能が提供され、病害予測機能はオプションの月額使用料として設定することで、必要に応じた選択が可能となっている(表 2)。


表2

3)使いやすいユーザインタフェイス
統一されたわかりやすいデザインを実装し、ユーザがモニタリングしたいデータをすぐに把握できるよう、大きくわかりやすく表示している。さらに詳細情報を取得したい場合は、それぞれ確認したい項目をタップするだけで詳細を確認することができ、コンピュータやスマートフォンに不慣れな方でも、直観的な操作でハウス内の環境を簡単に確認できる。

また、使用した農薬や病害発生の記録も既存のメニューから選択でき、片手で記録ができるなど、簡単な操作性を実装している(図 4)。


図 4

実証実験の結果

ボッシュは 2017 年にこれまで AIの研究に取り組んできた組織を集約させた研究センターを新設し、AIの専門知識の強化を目的として研究開発を拡大させている。Plantect TM では、初期開発の段階で 100 棟以上のハウスのデータとボッシュの強みである AIの技術を用いて病害予測アルゴリズムを開発した。

2017 年に実施した実証実験の結果としては、AIを利用した病害予測で病害を軽減することに成功している。この実証実験では、同じ環境で栽培される2 つの異なるトマトハウスに対して、Plantect TMの予測に従って薬散した場合と、発病後に薬散した場合を比較した。

結果は Plantect TM の予測に従った場合では 65%以上のゴーストスポットを削減することが確認できた。また、10 日ごとの定期農薬散布に比べ、Plantect TM の予測に従って薬散を行った場合には約 30%の農薬削減に成功した(図 5)。


図 5 AIを利用した病害予測

おわりに

現在 Plantect TM の病害予測機能は、ハウス栽培のトマトに限られているが、すでに 2018 年 5 月には「灰色カビ病」に続き「葉カビ病」を提供開始するなど、継続的に開発を進めている。

今後は特にイチゴ、きゅうりまたは花卉など他の農作物への展開、また、日本以外のハウス栽培市場で高い可能性をもつ国での販売も計画している。ボッシュは、センサの世界的なサプライヤーであり、こうしたハードウェアの強みに加え、IoTソリューションのためのミドルウェアやクラウドの運用を始め、IoTへの投資を大幅に加速させることで、農業分野の皆様へのご支援を継続していきたいと考えている。

◎価格
初期費用・・・無料
月間使用料金・・・モニタリング機能:4,980 円/月
※センサ、通信機、サービス費用、通信費込
※病害予測機能オプションは別

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◆相談先
ボッシュ株式会社
TEL:048-470-1746
E-mail:plantect@jp.bosch.com
URL:http://www.bosch.co.jp/plantect/

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