運搬ロボットのDoog、スマート農業活用に向けた試験モデルの販売を開始

株式会社Doog(以下、当社)は、物流倉庫や製造業等に広く展開する運搬ロボット「サウザー」の農業向け試験モデルの販売を開始する。

当社では、これまでに複数の農業関係者(※1、※2など)の協力により、ビニールハウス内のトマト栽培においてハウス内の自動巡回走行や自動往復走行に関する基本検証や、肥料の運搬など日々の農作業で生じる運搬業務の補助にロボットを活用する可能性等について確認を進めていった。
※1 茨城県が実施する近未来技術社会実装推進事業2019年度の活動
※2 朝日新聞(2019年6月13日掲載):https://www.asahi.com/articles/ASM5Q45H9M5QUJHB005.html

<基本検証の様子:幅が約 1m 強の通路を走行している> 

これらの検証成果に基づき、当社では物流倉庫や製造業、サービス業等に広く展開する運搬ロボット「サウザー」に特別調整をすることにより農業向け試験モデルの販売を開始する。

本発表の試験モデルは農機具メーカ、農業系研究所、農業団体の研究会などで研究開発に取り組む方がスマート農業を幅広く模索するためのツールとして研究・検証・実証事業に活用いただくことを想定している。

本発表の試験モデルの活用は、ロボット技術や情報通信技術(ICT)の活用により農業の省力化・精密化・高品質生産を目指す方に対して、研究開発・社会実装の加速に繋がることが期待される。

当社では本発表の展開を通じて運搬ロボットの農業活用に必要な仕様を確立させてゆくとともに、引き続き農業分野向けの展開体制の構築や事業拡大の模索を進めていく。

想定する研究・検証・実証事業

農業の一番のやりがいは、自分の手で一から農作物を育てられることだと言われている。しかし、ひとつの農作物を収穫するまでには、過酷な肉体労働を伴いながら長い時間がかかる。

これは農業の規模に関わらない共通課題である。労働人口の減少が叫ばれる中で、農業に関わる方の悩みの種になっている。

当社は運搬ロボットのサウザーを通じて、そのお悩みを解決する製品を目指す。ロボットで作業工程を自動化することで、人の労働負荷を下げながら、堅実に生産性向上が目指せる。

そして、人の労働負荷が少なくなることから、人は別の業務に時間を割けるようになり、農業を楽しく取り組める職場環境作りや、次の世代を担う若者への教育など、自社の将来に向けた重要な取り組みにも時間が使えるようになる。

これらに基づき、下記のような具体的な作業をサウザーが担うことを想定している。
・観測機器の搭載による生育状況の日々検査のための自動巡回走行
・噴霧器等の搭載により薬品等を噴霧・散布しながらの自動巡回走行
・ハウス内の作業(植え付け、手入れ業務、収穫など)の資材や収穫物等の運搬支援
・建屋間の移動を含めた機材の運搬支援
・鳥獣害対策のための自動巡回走行

ハウス内における生育状況の検査は全ルートを一定速度で移動できるロボットの活用が効果的である。

AIがデータ分析をするための大量のデータ収集が自動化できることで日々の運用が可能となり、農作業の分析や改善を精密化することに繋がると期待される。

また、噴霧作業は働く人の健康面への影響や、特に夏場の作業では高温多湿による重労働であり、まさにロボットが解決すべき課題である。

ほかにも、作業ごとで使用者がロボットの運行場所や機能を即座に変更できるため、日常的な運搬業務や巡回業務においても活用を想定している。
※噴霧器を用いた試験における保証条件などについては実施前に要確認

サウザーの特長と農作業への活用性

サウザーは120kgの積載重量を運ぶことができて、段差や斜面を含む屋外走行や、高視野なレーザーセンサによって昼夜を問わず使用することなど多様な環境に対応できることが特長である。

また、複数の機能をすぐに切り替えることができるため多用途に対応し、使い方をすぐに覚えることができるため、誰でも簡単に使うことができる。サウザーの基本的な走行機能には以下の3つがある。

① ジョイスティックによる簡単な操縦走行
② 自動的に人を追従する走行(障害物は自動回避):追従すべき人が正面に立ってスタートさせると、その人が歩くのに付いて走行する。
③ 決められたコースの自動走行(障害物検知による停止機能付き):コースの指示は地面に設置した反射ラインを用い、走行は少し先のテープを見て制御されるのでラインの途切れや汚れは自動的にカバーされる。

<サウザーPV> 

サウザーの導入では屋外走行や建屋間の段差、斜面を含む複数の現場において365日の運用実績がある。

また、センサの光学窓が車体の外周に配置されておらず荷台下の内側に隠されているため、汚れ等が付着しづらいことや、機器全体の防水性能としてIPX2の動作条件を確認済みであり、車輪系が大きいことも屋外利用における特長である。

このため舗装された路面だけでなく、土や草地やシートが敷設される路面など、ある程度整備された農作業環境に適用できることが期待される。

さらに、コンパクトな筐体は、一人での取り回しに優れる。これらの特長から、路面の整備された大規模な次世代施設園芸だけでなく中小規模の農業においても活用いただけると見込んでいる。

さらに、実運用の段階では日本全国のオンサイト保守サービスによって安心して現場で使用することができる。
※雨天の環境においてセンサ検知性能を損なわないためには、別途、雨滴の誘導路構築や特別なパラメータ設定等が必要である。

◆問い合わせ
株式会社Doog 広報担当
E-mail:web@doog-inc.com
https://jp.doog-inc.com/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください